• 2025年10月15日
  • 2025年10月28日

【足のむくみ】それは心臓からの危険信号かも?

こんにちは。 岡山市中区中納言で2026年2月に開院予定の「まつもと内科・循環器内科」院長の松本です。

先日、現在勤務しているクリニックで、地域の皆様を対象とした健康講座でお話しさせていただく機会がありました。テーマは「心不全」についてでしたが、その中で特に多くのご質問をいただいたのが「足のむくみ」についてです。

「夕方になると靴がきつくなる」「靴下の跡がくっきり残る」といった経験は、多くの方がお持ちかもしれません。しかし、そのむくみ、単なる疲れや年のせいだと考えて放置してはいませんか?もしかしたら、それは心臓が発している重要なサインかもしれません。

今回は、この「むくみ」と、心臓の病気である「心不全」との深い関係について解説します。

◆ まずはセルフチェック!これって「むくみ」?

「むくみ(浮腫)」とは、何らかの原因で体の中に余分な水分が溜まってしまっている状態のことです。特に足はむくみが現れやすい場所です。

ご自身の足がむくんでいるかどうか、簡単にチェックする方法があります。

【むくみのセルフチェック方法】 

足のすねの内側にある、骨のすぐ上(弁慶の泣きどころ)を、指で5秒ほどゆっくりと強く押してみてください。指を離したときに、へこみがすぐに戻らず、しばらく跡が残っているようであれば、それは「むくみ(浮腫)」があるサインです。

もちろん、長時間の立ち仕事や塩分の多い食事を摂った後などにも、一時的にむくみは起こります。しかし、「これまで気にならなかったのに、最近むくみがひどい」「むくみに加えて、息切れや動悸もする」といった場合は、注意が必要です。

◆ なぜ心臓が悪いと、足がむくむのか?

では、なぜ心臓の調子が悪くなると足がむくむのでしょうか。 それは、「心不全」という状態が関係しています。

心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を指します。

ポンプの力が弱まると、全身を巡る血液の流れが滞りやすくなります。すると、血管の中から水分が漏れ出し、皮膚の下に溜まってしまいます。これが、むくみの正体です。 心臓から遠く、重力の影響を受けやすい足は、特にそのサインが現れやすい場所なのです。

◆ 病院ではどうやって調べる?

「むくみが気になる」とご相談いただいた場合、私たちは原因を特定するためにいくつかの検査を行います。

  • 超音波検査(心エコー) 
    心臓の動きや大きさ、弁の状態をリアルタイムで直接観察できる検査です。心臓の機能は正常か、弁膜症などの構造的な問題はないか、などを調べます。
  • レントゲン検査 
    心臓全体の大きさ(心拡大)や、肺に水が溜まっていないか(胸水)などを確認します。心不全の診断だけでなく、心不全の治療効果の判定にも用います。
  • 血液検査
    むくみは心不全以外にも様々な原因があります。腎臓や肝臓の機能低下、甲状腺機能低下症など、心臓以外の原因がないかを調べます。

これらの検査を通して、むくみの裏に心不全やその他の疾患が隠れていないかを確認します。

◆ 症状が出る前の「予防」がなにより大切

以前のブログ『症状のない「前心不全」とは?』でもお話ししましたが、心不全は、むくみや息切れといったつらい症状がはっきりと現れる(ステージC)ずっと前から、静かに進行しています。

心不全の原因の1つが、高血圧です。高血圧があるというだけで、心不全の「ステージA(心不全のリスクがある段階)」に該当し、症状がなくても心臓への負担は蓄積し始めています。

高血圧のある方は、より注意が必要です。むくみは体重増加としても現れることがあります。血圧手帳に日々の血圧の記録に加え、ぜひ体重も記録してみてください。毎日のセルフチェックが、健康な生活を守るための大切な一歩となります。

◆ 気になる症状は、お気軽にご相談ください

足のむくみは、体からの大切なメッセージです。 特に、これまでになかったむくみが急に現れたり、だんだん悪化したりする場合は、決して自己判断で放置せず、ぜひ一度かかりつけの医療機関にご相談ください。

当院は、岡山市の皆様の心臓と血管の健康を守るパートナーとして、一人ひとりの患者さんに寄り添った丁寧な診療を心がけてまいります。血圧のこと、むくみのこと、その他健康に関するご不安があれば、2026年2月の開院の際には、お気軽に「まつもと内科・循環器内科」にご相談ください。

まつもと内科・循環器内科 院長 松本 健佑

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