- 2025年12月1日
地域住民の皆さまと語った「多職種で守る地域医療」 ― 講演会レポート
こんにちは。岡山市中区で開業準備中の「まつもと内科・循環器内科」院長の松本健佑です。
先日、2025年11月29日に、私が所属している社会福祉法人・義風会のデイサービスセンター桃丘にて、地域住民の皆さまが集まる講演会が開催されました。今回、講師としてお招きいただき、講演を行ってまいりました。
当日は私一人ではなく、日頃から地域連携で協力し合っている看護師、管理栄養士、理学療法士、社会福祉士といったチーム5名で参加し、「多職種で守る地域医療」をテーマにお話しさせていただきました。
講演会は、私が一方的にお話しするだけでなく、それぞれの専門職が参加者の皆様のテーブルにお邪魔して、座談会形式で日頃の健康の悩みについて直接お話しする時間も設けました。

今回はその様子と、そこで話題に上がった「医師や専門職の上手な活用法」について詳しくご紹介します。
◆ 「何科に行けばいいの?」迷った時こそ医師の出番
皆さんは、体に不調を感じたとき、次のように迷ったことはありませんか?
- 「腰が痛いけれど、湿布を貼っておけば治るかな?」
- 「最近なんとなく息切れがするけれど、年のせいかな?」
- 「どの病院に行けばいいのか、そもそも病院に行くべきなのか分からない」
講演会でも強調してお話ししたのですが、実は「ご自身で病気かどうか、何科に行くべきかを判断する必要はありません」。
例えば、「腰が痛い」という症状ひとつとっても、医学的には様々な原因が考えられます。
私が診察をする場合には、まずは内科的な病気(心血管系の疾患・尿管結石など)がないかを確認し、その上で最適な解決策へ振り分けていきます。腰痛症の場合でも以下のような様々な選択肢が考えられます。
- 整形外科的な問題が疑われる場合:
MRIなどの精密検査や手術が必要となる可能性があるため、連携している設備の整った総合病院へ紹介状を作成します。 - 長期的なリハビリテーションが必要と思われる場合:
「病気」の治療よりも、機能低下が目立ち、リハビリテーションが有効と判断されるケースです。
当院の2階には、リハビリテーションにも強みを持つ『あゆみ整形ハンドクリニック』が2026年2月中旬に開院予定です。将来的には、そちらにご紹介し、専門的なリハビリを受けていただくことが可能になります。 - 生活環境の問題の場合:
ご自宅での生活が難しい場合には、介護保険の申請を含め、ケアマネジャーや社会福祉士といった福祉の専門職へつなげることも有効な選択肢です。
このように、私たち『かかりつけ医』は、皆さまの悩みを適切な解決策へ導く「医療のハブ(交通整理役)」の役割を担っています。
「こんなことで受診していいのかな」と思わず、まずはその迷いごと診察室へお持ちください。
◆ 講演会で盛り上がった「プロの視点」
また、今回の座談会では、医師以外のスタッフにもたくさんのご質問をいただきました。その中で、特に会場が盛り上がったトピックをいくつかご紹介します。
① 中性脂肪とコレステロール、対策は違うの?(管理栄養士の視点)
「健診で中性脂肪の数値が高いと言われたけれど、油は控えているつもりです。それでも高いのですが、何を控えればいいのか分からない」というご質問がありました。
管理栄養士からは、次のようなポイントが挙げられました。
- 中性脂肪が高い場合:
「糖質(ご飯、パン、麺類、お菓子、果物など)」を摂り過ぎが主な原因となることが多いようです。
- 悪玉コレステロールが高い場合:
主に「動物性脂肪(肉の脂身、バターなど)」の過剰摂取が懸念されます。
ただ「脂質が高いから油を控えよう」と思っても、実はお米や果物の食べ過ぎが原因だった、ということは珍しくありません。こういった具体的な食事の改善策は、管理栄養士が得意とする分野です。
② 「手術は不要」と言われた腰痛(理学療法士の視点)
「病院で検査をしても異常はない。手術もいらないと言われたが、生活の中で腰が痛くて困っている。お風呂が好きだが、入浴のたびにくたびれる」という切実なお悩みもありました。
これに対して理学療法士は、「病気を治す」のではなく「動作を改善する」視点でアドバイスをしていました。
- 階段の上り下りでの足の運び方
- お風呂のまたぎ方の工夫
- 痛みの出にくい立ち上がり方
医師が「医学的な治療(Cure)」を担うとすれば、理学療法士や看護師は「生活を支えるケア(Care)」の専門家です。
「病気ではないけれど、生活の中で困っている」という場面こそ、多職種の力が発揮されるところなのだと感じました。
◆ 地域の「最初の相談窓口」を目指して
今回の講演会を通じて改めて感じたのは、地域の皆様が「病気というほどではないけれど、生活の中でなんとなく不安や不便を感じている」ことが非常に多いということです。
そして、その解決策は必ずしも「薬」だけではありません。
食事の内容を見直すことかもしれないし、体の動かし方を変えることかもしれないし、介護サービスを利用することかもしれません。
私たち医師の仕事は、検査や薬の処方だけではありません。皆様のお話を聞き、その困りごとを解決できる最適な「人」や「場所」へつなぐパスポート(紹介状や指示書)を書くことも、非常に大切な仕事です。
2026年2月に岡山市中区中納言町で開院予定の当クリニックも、そのような「地域のよろず相談所」でありたいと考えています。
風邪や生活習慣病の治療はもちろんですが、「とりあえず松本先生に聞いてみよう」と気軽に立ち寄っていただける場所を目指して、準備を進めてまいります。
寒暖差の激しい季節ですので、皆様どうぞご自愛ください。
まつもと内科・循環器内科 院長 松本 健佑