• 2026年3月19日

【講演会レポート】地域で診る心不全:心臓病センター榊原病院 中務智文先生

こんにちは。まつもと内科・循環器内科の松本です。

本日、私が以前勤務していた心臓病センター榊原病院のWeb勉強会に参加しました。

講師は、循環器内科の中務智文先生、講演会のテーマは『地域で診る心不全』です。

そこでは改めて、心不全治療における「退院後のケア」の重要性について、非常に示唆に富むお話がありました。

今回は、その講演の内容と、それを受けて私が地域医療で取り組みたいことについてお話しします。

退院後2週間以内のフォローが再入院を防ぐ

中務先生のご講演では、専門的な知見として以下の重要なデータが示されました。

  • 退院後2週間以内の外来フォローアップにより、心不全の再入院率が減少する
    JAMA. 2010; 303: 1716-22. / Med Care. 2016; 54: 365-72)

2025年改訂版 心不全診療ガイドラインでも、退院後3〜6ヶ月間を『脆弱期(ぜいじゃくき)』と定義しています。

つまり、病院で症状が落ち着いて退院した直後こそ、実はもっとも再入院のリスクが高く、慎重な見守りが必要な時期であるということです。

榊原病院時代の経験と、私の感じたこと

このお話を聞きながら、私は榊原病院で勤務していた頃の光景を思い出していました。

当時は退院から1ヶ月後くらいに外来で再会することが多かったのですが、「入院するほどではないけれど、退院した時よりも明らかに心不全が悪化しているな……」と感じる患者さんを、決して少なくない数経験してきました。ときには1ヶ月後の外来でお会いする前に救急搬送される方もおられました。

大きな病院では、どうしても次の予約が1ヶ月先になってしまったり、あるいは外来でのフォローそのものが難しかったりする現状があります。

しかし、心不全が悪化する兆候をその1ヶ月の間に発見し、再増悪や再入院を防がねばなりません。

地域のかかりつけ医として、私ができること

循環器専門医として、患者さんの再入院はできる限り防ぎたい。

かかりつけ医である私にできる役割は何か、を考えてみました。


・大きな病院を退院されたあと、まずは1〜2週間くらいのタイミングで、ぜひ当院に「元気な顔」を見せに来てください。


元気なお姿を確認できるだけで、私自身も本当に嬉しく、安心します。

もし、その時点で少しでも悪化のサインがあれば、外来ですぐにお薬の調整を行うことができます。

逆に、急激な悪化が疑われる場合には、入院を担当してくださった病院へ、手遅れになる前にすぐにお繋ぎします。

今回の勉強会を通じて、地域の心不全の再入院率を減らすための、かかりつけ医としての役割を発見した気がしています。

「病気の予防とその後のケアの両方を大切にする」

私が掲げているこの目標を、日々の診療で形にしていきたいと思います。退院後の生活に不安がある方は、いつでもお気軽にご相談ください。

【引用文献】

  • 『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』 (日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン)
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