• 2026年2月19日

循環器内科は「重症な人」が行くところ?— かかりつけ医の役割

こんにちは。岡山市中区中納言町の「まつもと内科・循環器内科」院長の松本です。

先日開催いたしました内覧会では、多くの方に足をお運びいただき、本当にありがとうございました。その際、ある来場者の方からこのようなご質問をいただきました。

「循環器内科って、私のような(大きな症状がない)人が受診してもいい場所なんですか?」

この言葉に、ハッとさせられました。一般の方にとって、循環器内科はそれほどハードルが高く感じられるものなのだと、改めて気付かされたのです。

「循環器=心臓=命に関わる重症な人が行くところ」

そんなイメージをお持ちかもしれません。

しかし、実はクリニックの循環器内科こそ、元気なうちに(症状が出る前に)来ていただきたい場所なのです。
「元気なのに行く必要ある?」と思われるかもしれませんが、少しだけその理由をお話しさせてください。


今回は、私が約10年間勤務した榊原病院のような「急性期病院」と、当院のような「地域のかかりつけ医」での循環器内科の役割の違いについて、お話ししたいと思います。

「火事を消す」病院と、「火事を防ぐ」クリニック

私は以前、24時間体制で救急患者さんを受け入れ、カテーテル治療や重症心不全の治療に携わる、急性期病院の代名詞のような榊原病院で勤務していました。まさに「燃え盛る火を消し止める」ような、一分一秒を争う現場です。

一方で、当院のようなクリニックで急性心筋梗塞のカテーテル治療ができるかというと、そうではありません。
同じ「循環器内科」という名前でも、役割が明確に異なるのです。
それを分かりやすく示すのが、心不全のステージ分類です。

関連ページ:症状のない「前心不全」とは?


1.高度な病院(急性期病院)の役割

・ステージC(発症・悪化時)
心不全が悪化して、急激に体調が崩れてしまう状態に対して、入院や手術などの高度な医療を提供する、まさに火事を消し止めるのが役割です。

(図の赤丸の部分が急性期病院の出番です)

2.当院(かかりつけ医)の役割

当院が最も大切にしているのは、「火事を起こさないこと」と「再燃させないこと」です。

・ステージA: 未然に防ぐ
高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方が、将来的に心臓病(ステージC)へ進まないように「予防」します。

・ステージB:無症状を維持する
自覚症状はなくても、心電図の異常や心臓の構造的な変化がある方に対して、悪化(ステージCへ移行すること)を未然に防ぎます。

図の青い□のところがかかりつけ医の出番です

・ステージC:悪化を食い止める
大きな病院を退院された方が、再び入院しなくて済むように、日常の体調やお薬をきめ細かく管理します。


つまり、冒頭の「元気なうちに来ていただきたい」という言葉には「元気な状態(ステージA・B)を、この先ずっと維持してほしい」という願いが込められています。


最新の知見を、あなたの「日常」の安心に

医療は日々進化しています。2025年には、心不全や高血圧の診療ガイドラインが改訂され、新しい治療の考え方が示されています。

私の役割は、この「最新の専門知識」を、大きな手術のためではなく、皆さんの「入院しなくて済む生活」や「健康な毎日の維持」のために使うことです。

専門医としての視点を、高血圧症などの生活習慣病の方へのお薬の調節や生活習慣のアドバイスに凝縮させ、皆さんが「ステージ」を進行させない・今の健康を長く維持したりできるようサポートしたいと考えています。


おわりに

当院が目指す循環器内科の姿は、決して敷居の高いものではありません。

「検診で血圧が高いと言われたけれど、どうすればいい?」
「階段で少し息が切れるようになったかな?」
「大きな病院を退院したけれど、これから家でどう過ごせば安心?」

そんな、日常の小さな不安こそ、私たちの出番です。
『病気の予防とその後のケアの両方を大切にし、患者さま一人ひとりが安心して日々を過ごせる医療を目指す』。
この言葉通り、特にお薬の調整が必要な方や、将来の心臓病を防ぎたいと考えている方にとって、一番身近なかかりつけ医でありたいと願っています。
どうぞ、お気軽にご相談ください。


【引用文献】

  • 『高血圧管理・治療ガイドライン2025 (JSH2025)』 (日本高血圧学会)
  • 『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』 (日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン)

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