• 2026年4月8日

【講演会レポート】心不全を考慮した高血圧治療 ー 玉島中央病院・三好章仁先生のご講演

こんにちは。岡山市中区「まつもと内科・循環器内科」院長の松本健佑です。私は循環器専門医として約10年間、榊原病院で急性期の心不全・高血圧治療に携わってきました。

先日、「岡山市中区若手医師の会」に出席してきました。座長を矢野医院の矢野隆介先生が務められ、玉島中央病院の三好章仁先生から「心不全を考慮した高血圧治療」についてご講演いただきました。

今回の内容は、高血圧で通院中の患者さんにとって特に知っておいていただきたいことが多く含まれていましたので、ブログでもお伝えします。


心不全には進行度を示すステージ分類があります。

  • ステージA:高血圧などのリスクはあるが、心臓の構造・機能は正常
  • ステージB:自覚症状はないが、心臓の形や機能にすでに変化が生じている状態。いわゆる「前心不全」と呼ばれる状態です。
  • ステージC:息切れやむくみなど、心不全の症状が現れている状態

関連記事:症状のない「前心不全」とは?

三好先生が特に強調されていたのが、このステージBの段階での介入です。症状がないため患者さん自身は気づきにくいのですが、この時期に適切に血圧をコントロールすることが、将来の心不全発症を防ぐうえで非常に重要です。

私自身、榊原病院での急性期経験から心不全を発症した方を多く診察してきました。その多くは、心電図異常や血液検査異常などステージBの段階で見逃されていたサインがあったように思います。だからこそ、開業後の日常診療で、この段階を丁寧に診ることに力を入れています。


2025年改訂版 心不全診療ガイドライン(日本循環器学会/日本心不全学会)に示されている図があります。心不全が悪化して入院に至るまでの経過を示したものです。

この図から読み取れる重要なことが2点あります。

まず、入院の約1週間前からすでにうっ血(体に水が溜まった状態)が進んでいること。さらに遡ると、2〜3週間前から血液検査(BNP値)の上昇や緩やかな体重増加が始まっているということです。

つまり「突然悪くなった」ように見えても、水面下では予兆が続いていたということです。

当院では、この予兆を見逃さないために、診察のたびに以下を確認しています。

  • 家庭血圧の記録(血圧手帳)
  • 足のむくみの有無
  • 体重の変化
  • 「しんどさ」「息切れ」などの自覚症状

「血圧が高い日がありましたが、何か症状はありましたか?」「むくみに気づいたのはいつ頃ですか?」——こうした問いかけは、ガイドラインが示す水面下のサインを拾うための、日常診療の積み重ねです。


高血圧は心不全を悪化させる最大の要因のひとつです。

ただし、高血圧の治療目標は「血圧の数値を下げること」だけではありません。その方の心臓の状態(ステージ)を正確に評価したうえで、将来の心不全を防ぐために最適な薬を選ぶことが重要です。

同じ「血圧140mmHg」であっても、心臓の機能が保たれているステージAの方と、すでに心臓の形に変化があるステージBの方とでは、選ぶべき薬が異なる場合があります。循環器専門医として、こうした個別の判断を日々の診療に活かしていきたいと考えています。


今回の勉強会には、消化器内科や内分泌内科など、循環器を専門としない先生方も多く参加されていました。かかりつけ医は、自分の専門領域だけでなく、患者さんが抱えるさまざまな問題に向き合う必要があります。

私自身も、循環器疾患にとどまらず幅広く学び続けることが、患者さんへの最善の医療につながると感じています。こうした勉強会に参加するたびに、その思いを新たにしています。

ご受診をお考えの方へ

当院では、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の診療にも力を入れています。

「健診で血圧が高いと言われた」「血圧の薬を飲んでいるが、このままでよいか不安」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。心臓の状態も含めて、循環器専門医の視点から丁寧に評価します。

当院は岡山市中区に位置しておりますが、旭川を渡ってすぐの場所にあり、岡山市北区(表町・内山下方面)からもアクセスしやすい立地です。駐車場も広くご用意しています。

まつもと内科・循環器内科
院長 松本 健佑 (循環器専門医)

【参照資料】

・『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン

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