- 2026年4月6日
- 2026年5月25日
健診で『血糖値が高い』と指摘されたら?
ー 糖尿病かどうかを正しく判断するために、まず知っておきたいこと ー
健康診断の結果用紙に「血糖値が高め」「要再検査」と書かれていた…。
そんな経験はありませんか?
「もしかして糖尿病?」と不安になる方は多いですが、血糖値が高い=即、糖尿病の診断、というわけではありません。
この記事では、健診で血糖値の異常を指摘されたときに確認すべきポイントと、なぜ放置が危険なのかを、わかりやすく解説します。
確認ポイント① 血糖値はいつ測ったものですか?
血糖値は食事の影響を非常に強くうけます。まずは、ご自身の採血がどちらのタイミングだったかを確認しましょう。
■ 空腹時血糖値(健診で一般的)
10時間以上食事をとっていない状態で採血した血糖値です。
多くの健診は『朝食を抜き』で行われるため、こちらに該当します。
■ 随時血糖値(食後も含む、任意のタイミング)
食事の時間に関係なく採血した血糖値です。食後は数値が上がるため、空腹時と比べて高めになります。
📌 ポイント:健診で指摘された値が空腹時の値かどうかを確認しましょう。食後に測定した随時血糖値であれば、数値が高めでも心配のない場合があります。
確認ポイント② 「糖尿病型」と診断される数値の基準
血糖値が以下の数値に該当すると「糖尿病型」と呼ばれます。
【糖尿病型と診断される基準値】
・空腹時血糖値:126 mg/dL 以上
・随時血糖値:200 mg/dL 以上
・HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー):6.5% 以上
HbA1cとは、過去1〜2ヶ月の血糖値の平均的な状態を反映する指標です。健診で血糖値と一緒に測定されることが多く、こちらも「糖尿病かどうか」を判断するうえで重要な数値です。
「糖尿病型」=「糖尿病の診断」ではありません
重要なポイントです。血糖値の数値が「糖尿病型」に該当したとしても、それだけで「糖尿病です」と診断されるわけではありません。
糖尿病と診断されるのは、次の条件が揃った場合です。
【糖尿病と診断される主な条件】
① 血糖値(空腹時・随時)とHbA1cの両方が糖尿病型
→ 1回の検査で糖尿病と診断
② 血糖値のみ糖尿病型(HbA1cなし)
→ 別の日に再検査して、再度糖尿病型なら糖尿病と診断
③ 典型的な症状(口渇・多尿・体重減少)+血糖値が糖尿病型
→ 糖尿病と診断
健診で血糖値が高かった場合でも、多くのケースで1回の結果だけでは確定診断になりません。正確な診断のために、医療機関での再検査が必要です。
「症状がないから大丈夫」は危険なサインです
「血糖値が高くても、体に不調は感じない」という方はとても多いですし、実際、糖尿病の患者さんの多くは自覚症状がありません。
しかし、だからこそ注意が必要です。糖尿病の特徴は、自覚症状が出にくいまま、静かに体の内側でダメージが蓄積されることにあります。放置した状態が続くと、以下のような深刻な合併症につながります。
- 心血管疾患(心筋梗塞・脳梗塞)
高血糖が続くと血管が傷つき、動脈硬化が進みます。 - 眼の合併症(糖尿病網膜症)
悪化すると視力低下・失明につながることがあります。 - 腎臓の合併症(糖尿病腎症)
進行すると人工透析が必要になる場合があります。 - 神経障害
手足のしびれや感覚の低下が起こります。
当院は循環器内科を専門としているため、糖尿病と心臓・血管疾患の深い関係を日常の診療の中で見てきました。血糖値の管理は、将来の心臓病・脳卒中を防ぐうえでも欠かせないと、強く感じています。
まとめ
① 採血は空腹時かどうかを確認する
② 空腹時126 mg/dL以上、またはHbA1c 6.5%以上なら「糖尿病型」
③ 1回の結果だけでは確定診断にはならない → 医療機関で再検査を
④ 自覚症状がなくても、放置すると合併症リスクがある
⑤ 早期発見・早期対応で、将来の大きな病気を予防できる
今回の記事に関連したQ&A
健診で血糖値が高めと言われたけど、体は全然しんどくありません。放っておいても大丈夫ですか?
糖尿病は自覚症状が出にくいことが最大の特徴で、「症状がないから問題ない」とはならないのが怖いところです。高血糖の状態が続くと、血管や神経へのダメージは静かに進んでいきます。網膜症・腎症・神経障害といった合併症が表面化したときには、すでにかなり進行しているケースも少なくありません。症状がない今の段階でこそ、再検査で状態を正確に把握しておく意味があります。
血糖値が高いと言われたら、すぐに薬を飲み始めないといけないですか?
血糖値が高めでも、まず「本当に糖尿病かどうか」の確定診断が先になります。1回の健診結果だけでは糖尿病の診断は下せないため、再検査で状態を確認するのが順序です。その後の治療方針は、空腹時血糖値やHbA1cの数値・合併症の有無・生活習慣などを総合して決まるため、最初から薬が必要とは限りません。食事・運動の改善だけで数値が改善するケースもあり、どのアプローチが適切かは医師との相談で判断することになります。
血糖値の再検査は何科に行けばいいですか?内科でいいですか?
内科・糖尿病内科・代謝内科のいずれかで対応できます。かかりつけ医がいれば、まずそちらに相談するのがスムーズです。ただし、すでに高血圧や脂質異常症がある場合、あるいは家族に心臓病・脳卒中の既往がある場合は、循環器の視点も含めて評価できる医師に診てもらうと、将来のリスクをより広く把握できます。糖尿病は心臓・血管疾患との関係が深く、血糖だけを単独で管理すればよい病気ではないため、複数のリスクをまとめて診てもらえる環境を選ぶことも一つの考え方です。
血糖値が高め、と言われた段階で食事や生活で気をつけることはありますか?
確定診断の前であっても、生活習慣の見直しは早いほど意味があります。特に効果が出やすいのが「食後の軽い運動」で、食後15〜30分程度のウォーキングが血糖値の上昇を抑えるのに有効とされています。食事面では、精製された糖質(白米・パン・菓子類)を一気に大量に食べる食べ方を避け、野菜・たんぱく質を先に食べる「食べる順番」を意識するだけでも変化が出ることがある。体重が標準より重い方は、5%の減量だけで血糖値が改善するケースも多いため、まずそこを目標にするのも現実的な方針です。
ご受診をお考えの方へ
まつもと内科・循環器内科(岡山市中区中納言町)では、病気の予防とその後のケアの両方を大切にし、患者さま一人ひとりが安心して日々を過ごせる医療を目指します』という理念のもと、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の診療に力を入れています。
「健診で血糖値が高いと言われた」「どこで再検査すればいいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。早期発見と適切な対応こそが、将来の大きな病気を防ぐ一歩と考えます。
まつもと内科・循環器内科
院長 松本 健佑
資格:循環器内科専門医
参照資料
- 『糖尿病診療ガイドライン 2024』日本糖尿病学会