- 2026年5月16日
- 2026年5月20日
【講演会レポート】DKD Frontier Forum ー 岡山赤十字病院・岡本修吾先生のご公演
こんにちは。岡山市中区中納言町の「まつもと内科・循環器内科」院長の松本健佑です。
2026年4月16日、「DKD Frontier Forum」という講演会に参加してきました。岡山赤十字病院腎臓内科の岡本修吾先生、島根大学の金崎啓造先生から、糖尿病に伴う腎臓病の最新知見を伺ってきました。
日頃から感じていたことが改めて確認できた部分もあり、また「まだまだ足りていなかったな」と気づかされた部分もあり、有意義な時間でした。今回はその内容を、患者さんにも伝わるようお話しします。
糖尿病の合併症「DKD(糖尿病関連腎臓病)」とは?
先日のブログ(岡山市立総合医療センター・河合勇介先生のご講演)でも書きましたが、糖尿病治療の大きな目的は「合併症を防ぎ、健康寿命を延ばすこと」です。
その合併症のなかでも、動脈硬化や心臓の病気と同じくらい注意が必要なのがDKD(糖尿病関連腎臓病)です。糖尿病が原因で腎臓の機能が少しずつ落ちていく病気で、進行すると透析が必要になるだけでなく、心筋梗塞や心不全のリスクも大きく上がってしまいます。
腎臓と心臓は密接につながっているということです。
血液検査だけでは不十分?「尿検査」が大切な理由
腎臓の状態を調べるとき、血液検査でCRE(クレアチニン)やeGFR(推算糸球体濾過量)という数値を見たことがある方も多いと思います。
これらはとても重要な指標ですが、実は血液検査の数値が悪化するより前に、腎臓からのSOSが出ていることがあります。それが「尿蛋白(微量アルブミン尿)」です。
血液検査が正常でも、尿にタンパクが漏れ出している場合があります。ここを見逃さず早めに手を打てるかどうかが、10年後・20年後の腎臓の状態を大きく変えます。だからこそ、当院では定期的な尿検査を欠かさず行っています。
DKD治療の「4つの柱(4 Pillars)」
現在の治療では、腎臓を守るために4種類の薬を組み合わせる治療が推奨されています。
- ACE阻害薬/ARB:血圧を下げながら腎臓を保護するお薬
- SGLT2阻害薬:尿から糖を排出し、心臓・腎臓を守るお薬(ジャディアンス、フォシーガなど)
- MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬):腎臓の炎症や線維化を抑える、比較的新しいお薬(ケレンディアなど)
- GLP-1受容体作動薬:血糖を下げながら腎臓・血管への保護作用も期待できるお薬(マンジャロ、オゼンピックなど)
一昔前に比べると、腎臓を守るための手段がずいぶん増えました。これらをうまく組み合わせることで、進行を食い止められる可能性がかなり高くなっています。
当院での取り組みと、専門医との連携について
当院では、糖尿病で通院されている方に対して、血液検査(HbA1c・eGFR)だけでなく、定期的な尿検査による腎臓の評価もセットで行っています。
私は循環器専門医でもあるため、「心不全を防ぐ」という視点からもこれらの薬を日常的に使っており、糖尿病と心臓・腎臓を合わせてみていくのは得意な分野のひとつです。
一方で、蛋白尿がなかなか改善しない場合や、より詳しい検査が必要な場合には、先日お話を伺った岡本先生のいる岡山赤十字病院など、専門の医療機関とスムーズに連携できる体制をとっています。「もっと早くに受診していたら。。」とならないよう、早め早めの対応を心がけています。
ご受診をお考えの方へ
当院では、「病気の予防とその後のケアの両方を大切にし、患者さま一人ひとりが安心して日々を過ごせる医療を目指す」という理念のもと、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病診療にも力を入れています。
「糖尿病はあると言われているけれど、腎臓の検査は血液検査しかやっていない」という方、ぜひ一度ご相談ください。尿検査ひとつで、見えてくるものがあるかもしれません。
当院は岡山市中区にありますが、旭川を渡ってすぐの場所に位置し、北区(表町・内山下方面)からもアクセスしやすい立地です。広い駐車場も完備しております。
今回の記事に関連するQ&A
Q : 糖尿病があるけど、尿検査はやっていません。問題ありますか?
A : 血液検査で腎臓の機能が正常でも、尿蛋白が出ていることがあります。早期発見のためには尿検査は必須です。
Q : SGLT2阻害薬は糖尿病がなくても使いますか?
A : 心不全・CKDがある場合は糖尿病がなくても適応があります。
まつもと内科・循環器内科 院長 松本 健佑(循環器専門医)
【参照資料】
・糖尿病診療ガイドライン2024 日本糖尿病学会
・DKD Frontier Forum(2026/4/16)講演内容