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  • 2026年7月27日

健康セミナーを開催しました ― 生活習慣病と心エコー・頸動脈エコーの実演

こんにちは。まつもと内科・循環器内科(岡山市中区中納言町)院長の松本健佑です。

先日、地域の皆さまを対象に健康セミナーを開催しました。テーマは、当院がもっとも大切にしている「生活習慣病の予防」です。当日は、高血圧やコレステロール、糖尿病といった生活習慣病が、なぜ将来の心臓や血管の病気につながるのかをお話しし、さらに、心臓と頸動脈のエコー(超音波)検査を、実際に画面でご覧いただきました。

この記事では、セミナーでお伝えした内容の要点と、多くの方に興味を持っていただいたエコー実演の様子をご紹介します。

なぜ、循環器の専門医が「予防」を大切にするのか

私はこれまで、心臓病センター榊原病院で約10年間、急性心筋梗塞や心不全といった、心臓・血管の病気を「発症したあと」の治療に携わってきました。一刻を争う現場でたくさんの患者さんと向き合う中で、強く感じたことがあります。それは、救急で運ばれてくる方の多くが、実は「高血圧」「コレステロールが高い」「糖尿病」といった、”予防できたはずの病気”を抱えていた、ということです。

だからこそ、開業した今、私は「発症する前」の段階を大切にしています。

もう一つ、予防を強調する理由が「健康寿命」です。日本人の平均寿命と、介護を必要とせず自分の力で生活できる「健康寿命」の間には、男性で約9年、女性で約12年の差があります。つまり、人生の終盤の10年前後を、脳卒中の後遺症や骨折、心不全などで、思うように動けずに過ごす方が少なくありません。長生きそのものよりも、「何歳まで自分の足で動けるか」。この元気に動ける時間を延ばすことが、予防医療の目的だと考えています。

関連記事:【講演会レポート】心不全を考慮した高血圧治療

高血圧・脂質異常症・糖尿病が招くもの

高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病。これらは名前こそ違いますが、共通して「血管を傷める病気」です。

  • 高血圧は、血管の壁に強い圧力がかかり続け、血管が硬く、もろくなっていきます。心臓も、高い圧に逆らって血液を送り出すため負担がかかり、心臓の筋肉が厚くなる「心肥大」や、やがて心不全につながることがあります。
  • 悪玉(LDL)コレステロールが高い状態は、血管の壁の内側にコレステロールが少しずつ溜まり、動脈硬化を進めます。これが進むと、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
  • 糖尿病は、高い血糖が続くことで、腎臓・目といった細い血管や、心臓・脳につながる太い血管を傷めていきます。
    関連記事:健診で『血糖値が高い』と指摘されたら?

つまり生活習慣病は、放っておくと心不全・腎不全・脳梗塞・心筋梗塞といった、命や生活に関わる病気の原因になりえる。

では、どれくらいの確率でこうした病気が起こるのか。当院の診療では、日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』でも用いられている「久山町スコア」という指標を使い、10年以内に心筋梗塞や脳梗塞(動脈硬化による病気)を起こす確率を見積もります。血圧やコレステロールの値、性別、喫煙などから点数をつけ、ご自身のリスクを数字として実感していただきます。
関連記事:「LDLコレステロールが高い」と言われたら?

そして治療の目標も、自己流ではなく、最新の指針に沿って設定します。2025年に改訂された高血圧の管理・治療ガイドライン(JSH2025)では、診察室での血圧130/80mmHg未満、ご家庭での血圧125/75mmHg未満が目安とされ、ご家庭での血圧測定がこれまで以上に重視されるようになりました。コレステロールについても、動脈硬化性疾患予防ガイドラインに沿って、その方のリスクに応じた管理目標値を設定します。当院では、こうした最新の考え方に沿って、一人ひとりに合わせた管理を行っています。

「症状が出たときには、もう血管は傷んでいる」

生活習慣病がやっかいなのは、自覚症状がほとんど出ないことです。血圧が高くても、コレステロールが高くても、多くの場合、痛くもかゆくもありません。

ところが、動悸や息切れ、むくみといった症状がはっきり出てくる頃には、心臓や血管はすでにかなり傷んでいることが少なくありません。心不全にも、症状が出る前の「前心不全」と呼ばれる段階があることが分かっています。

つまり、しんどくなってからでは、対応が後手に回ってしまう。だからこそ私は、症状が出るより前に、見えない心臓や血管の状態を「見える化」しておくことが大切だと考えています。

心エコー・頸動脈エコーを、実際に見てもらいました

今回のセミナーでもっとも盛り上がったのが、このパートです。私自身の心臓と頸動脈を、解説を加えながら、その場でエコー(超音波)検査でご覧いただきました。

心エコー(心臓超音波検査)は、心臓が拍動して血液を送り出す様子や、心臓の壁の厚さ・動き、弁の開き具合を、痛みも被ばくもなく、リアルタイムで映し出せる検査です。普段は決して見ることのできない心臓が動いている姿に、参加された皆さんは驚きながら、熱心に画面を見つめておられました。

頸動脈エコーは、首の血管の壁の厚みや、動脈硬化によってできる「プラーク」の有無を確認する検査です。首の血管の状態は、全身の動脈硬化を反映するとも言われ、心臓や脳の血管の状態を推し量る手がかりになります。

血圧やコレステロールの数値だけでなく、こうして実際の臓器の状態を目で見ることで、「自分の体の中で今、何が起きているのか」を、より具体的に感じていただけたのではないかと思います。

当院では、これらのエコー検査を、院長である私自身が行い、その場で解析・ご説明します。循環器を専門にしてきたからこそ、検査の結果と、これからどうしていくかという方針までを、その日のうちに一緒に考えることができます。

予防と、発症した後の管理の「両方」を診る

一般的に、病気を「予防する」段階と、心筋梗塞や心不全などを「発症した後に管理する」段階は、別々の医療機関・別々の先生が担うことが少なくありません。

私は、榊原病院で心臓・血管の病気を発症した後の治療を長く経験し、その上で今、発症する前の予防に力を入れています。この両方を一人で診られることが、当院の大きな特徴です。

だからこそ、「あなたが今、健康と病気のどのあたりにいるのか」――まだ十分に余裕があるのか、そろそろ生活習慣を整えるべき段階なのか、あるいはしっかり治療を始めるべき段階なのか――を、循環器の専門医の目で見きわめ、必要な対策をご提案できます。生活習慣病の予防・管理から、心血管病を起こした後の再発予防まで、切れ目なくお付き合いできればと考えています。

まずは、ご自身の状況を知ることから

セミナーの最後にお伝えしたのは、「まずは自分の状況を知りましょう」ということです。

  • ご家庭で、朝と晩に血圧を測り、記録する(起床後1時間以内・服薬前と、就寝前が目安です)
  • 体重を測る
  • 血液検査・尿検査で、コレステロールや腎臓、心臓への負担(BNPなど)を確認する
  • 心電図や心エコー、頸動脈エコーで、心臓・血管の状態を「見える化」する

すべてを一度にやる必要はありません。まずは血圧を測ることからで十分です。

血圧が高め、少し息切れがする、脈が飛ぶ感じがする、健診で心電図やコレステロールを指摘された――そんなときは、循環器のかかりつけとして、どうぞお気軽にご相談ください。生活習慣病の予防から、専門的な検査・管理まで、一人ひとりに合わせてサポートいたします。

今回の記事に関連したQ&A

健診で血圧やコレステロールが高いと言われましたが、どこも痛くありません。今すぐ何かする必要ありますか?

生活習慣病がやっかいなのは、血管が傷んでいく間ずっと痛くもかゆくもないことです。動悸や息切れ、むくみといった症状が出る頃には、心臓や血管はすでに相当なダメージを受けているケースが少なくありません。心不全にも、症状が出る前の「前心不全」という段階があることが分かっています。久山町スコアのようなリスク評価を使えば、10年以内に心筋梗塞や脳梗塞を起こす確率を数値で把握できるため、症状の有無ではなくリスクの大きさで判断するのが合理的です。

血圧やコレステロールが高めですが、薬を飲まずに生活習慣の改善だけで様子を見てもいいですか?

数値の高さだけでなく、その方が抱えるリスク全体をどう見積もるかで判断が変わります。JSH2025では降圧目標が診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満とされていますが、そこまでどう到達するかは個別の判断。コレステロールについても、動脈硬化性疾患予防ガイドラインではリスク区分ごとにLDLの管理目標値が変わるため、同じ数値でも「経過観察でよい方」と「早めに薬を始めた方がよい方」に分かれます。糖尿病や喫煙、過去の心血管イベントの有無などが判断材料になるので、自己判断で先延ばしにせず、リスク評価を受けたうえで方針を決めるのが確実です。

心エコーと頸動脈エコーって、どんな検査ですか?痛みや被ばくが心配です。

どちらも超音波を使う検査で、痛みも放射線被ばくもありません。心エコーは胸にゼリーを塗ってプローブを当て、心臓が動いている様子・壁の厚さ・弁の開き具合をリアルタイムで観察します。頸動脈エコーは首に当てるだけで、血管壁の厚み(IMT)やプラークの有無を確認する検査。所要時間はいずれも15〜30分程度で、着替え以外に特別な準備は要りません。首の血管の状態は全身の動脈硬化を反映するとも言われ、心臓や脳の血管を推し量る手がかりになります。

生活習慣病の管理は、かかりつけの内科と循環器内科のどちらで診てもらうのがいいんでしょうか。

血圧やコレステロールの数値管理だけであれば、内科やかかりつけ医で対応できることが多いです。ただ、心臓や血管がすでにどこまで傷んでいるかを評価する段階になると、心エコーや頸動脈エコーを実施・判読できる環境が必要になります。健診で心電図異常を指摘された、息切れや脈の乱れを感じる、心筋梗塞や心不全の既往がある——こうした場合は循環器専門医の評価が助けになる場面が多い。予防の段階と発症後の管理を別々の医療機関で診てもらっている方は、情報が分断されやすいので、どこまでを誰が担当しているのかを一度整理しておくといいかもしれません。

予防のために自分でできることから始めたいのですが、何から手をつければいいですか?

血圧測定からで十分です。朝は起床後1時間以内・服薬前、夜は就寝前に測って記録する。これだけでも診察時の判断材料としての価値がかなり違ってきます。体重も同時に記録しておくと、心臓への負担の変化に気づく手がかりになります。減塩(1日6g未満が目安)や、早歩き程度の有酸素運動を週3〜5回といった生活習慣の見直しも効果が出やすい部分ですが、全部を一度にやろうとすると続きません。血液検査でコレステロール・腎機能・BNPを確認する、心電図やエコーで血管の状態を見える化する、といったステップは、段階的に足していけば問題ないでしょう。

当院では、「病気の予防とその後のケアの両方を大切にし、患者さま一人ひとりが安心して日々を過ごせる医療を目指す」という理念のもと、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の診療に力を入れています。ぜひ一度ご相談ください。

当院は岡山市中区にありますが、旭川を渡ってすぐの場所に位置し、北区(表町・内山下方面)からもアクセスしやすい立地です。広い駐車場も完備しております。

まつもと内科・循環器内科 院長 松本 健佑(循環器専門医)

参照資料

  • 日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』
  • 日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』
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