- 2026年10月9日
寒くなると血圧が上がります ― 冬こそ家庭血圧を測りましょう
最終確認日:2026年10月
こんにちは。岡山市中区中納言町の「まつもと内科・循環器内科」院長の松本健佑です。
朝晩が冷え込む季節になりました。この時期、診察室で「最近、家で測る血圧が高くなってきました」というお声をよくいただきます。
実は、血圧は冬に上がり、夏に下がることがわかっています。今回は、季節による血圧の変化と、冬に向けて大切にしていただきたいことをお伝えします。
【この記事のポイント】
- 血圧は 冬に上がり、夏に下がります。国内の研究では、夏と冬で上の血圧に 6〜7 mmHgほど の差がありました。
- 季節による変化が 特に大きい方 は、心臓や血管の病気が多いことが報告されています。
- 変化をとらえる方法は 家庭血圧の記録 です。記録をもとに、一人ひとりに合わせて丁寧に調整していきます。
血圧は冬に上がります
日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、寒さによって冬に血圧が上がること、そして 外の気温だけでなく、室内の温度が下がっても血圧が上がる ことが示されています。
寒さを感じると、体は熱を逃がさないように血管を縮めます。そのため血圧が上がりやすくなります。
・約6万5千人の家庭血圧から見えたこと
国内で家庭血圧を記録している 約6万5千人 のデータを調べた研究があります(2018年発表)。
- 血圧が最も高かったのは 12月、最も低かったのは 7月 でした。
- 朝の上の血圧(収縮期血圧)は、夏と冬で 男性で約6 mmHg、女性で約7 mmHg の差がありました。
- この差は、60歳以上の方では男性で約7 mmHg、女性で約9 mmHg と、やや大きくなっていました。
気温が下がるほど血圧は高くなり、この関係は、年齢や性別、住んでいる地域にかかわらず見られました。
季節の変化が大きい方は注意が必要です
季節による血圧の変化の大きさには、個人差があります。ほとんど変わらない方もいれば、冬に大きく上がる方もいます。
・季節の変化と心臓・血管の病気の関係
降圧薬で治療中の方約2,800人の家庭血圧を、7年ほどにわたって追った国内の研究があります(HOMED-BP研究、2018年発表)。
- 夏と冬の上の血圧の差が 平均9 mmHg以上と大きかった方 は、変化が小さかった方に比べて、心臓や血管の病気が 約2倍 多いという結果でした。
- また、冬に向けて薬を強めた方のうち、秋(9〜11月)のうちに早めに調整した方 では、冬(12〜2月)になってから調整した方より、夏と冬の血圧の差が小さくなっていました(約4 mmHg と 約7 mmHg)。
季節の変化が大きいことが病気の直接の原因だと、はっきりわかったわけではありません。それでも、冬に血圧が大きく上がるのを早めにとらえ、丁寧に調整すること が大切だと考えられます。
ガイドラインでも、冬に血圧が大きく上がる方では薬を強めること、夏に大きく下がる方では薬を減らすこと が勧められています。季節の変化に合わせた調整は、治療の一部です。
冬こそ、家庭血圧を記録しましょう
診察室で測る血圧は、月に1回など限られた機会の値です。季節による変化をとらえるには、毎日の家庭血圧の記録 が欠かせません。ガイドラインでも、家庭血圧は季節による変化のような長い期間の変化を見るのに役立つとされています。
・測るタイミング
- 朝:起きてから朝食の前に(朝のお薬を飲む前に)
- 夜:寝る前
いずれも、椅子に座って1〜2分ほど休んでから測ります。休まずにすぐ測ると、血圧は高めに出ることがあります。
・冬に測るときのコツ
- 暖かい部屋で測りましょう。 ガイドラインでも、冬に寒い部屋で測ると血圧が上がるとされています。暖房を入れて部屋が暖まってから測ると、ふだんの血圧をとらえやすくなります。
- 毎日、同じ条件で測りましょう。 測る部屋や時間が日によって違うと、季節による変化なのか、測り方による違いなのかがわかりにくくなります。
- 1回に2回測って、記録しましょう。 高く出たからといって何度も測り直し、低い値だけを残すことはしないでください。高かった日も低かった日も、そのまま書き残すことが大切です。
腕の位置や血圧計の選び方については、「その測り方、損をしていませんか?『腕の置き方』で血圧はこんなに変わります」と「ご家庭での血圧測定、腕で測る?手首で測る? 正しい血圧計の選び方」でも紹介しています。
冬の暮らしで気をつけたいこと
ガイドラインでは、生活習慣の改善の一つとして 「室内・屋外の寒さにさらされることを避ける」 ことが挙げられています。
- 部屋を暖かく、温度差を小さく:世界保健機関(WHO)は、冬の室温を 18℃以上 に保つことを勧めています。居間だけでなく、廊下・トイレ・脱衣所も冷えすぎないようにしましょう。
- 入浴前に脱衣所を暖める:室温が低いと、特にご高齢の方で入浴後の血圧上昇が大きいことが示されています。
- 外出時は首元・手足を温かく:急に冷たい外気にさらされないようにしましょう。
よくあるご質問
Q. 冬になって家の血圧が上がってきました。薬を自分で増やしてもよいですか?
いいえ。お薬の量はご自身で変えず、記録を持って受診してください。冬の上がり方には個人差があり、同じ数値でも、その方の状態によって対応が変わります。
Q. 夏に血圧が下がって、ふらつくことがあります。
夏は血圧が下がりやすく、汗で脱水になると、さらに下がることがあります。ふらつきや立ちくらみがある場合も、自己判断で薬をやめずに、早めにご相談ください。
Q. 血圧が上がるのは冬のあいだだけですか?
血圧は、冬に向けて上がり、春から夏に向けて下がる、という変化を毎年くり返します。一年を通して記録を続けると、ご自身の変化のパターンがわかり、調整のタイミングを決めやすくなります。
ご受診をお考えの方へ
冬に向けて家庭血圧が上がってきた方、季節によって血圧の変化が大きいと感じている方は、血圧手帳やアプリの記録 をお持ちください。記録をもとに、一緒に確認していきます。
ご自身やご家族のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にお声かけください。
参考文献
- 日本高血圧学会. 高血圧管理・治療ガイドライン2025. 2025.
- Iwahori T, et al. Seasonal variation in home blood pressure: findings from nationwide web-based monitoring in Japan. BMJ Open. 2018;8:e017351.
- Hanazawa T, et al. Association Between Amplitude of Seasonal Variation in Self-Measured Home Blood Pressure and Cardiovascular Outcomes: HOMED-BP Study. J Am Heart Assoc. 2018;7:e008509.
- Narita K, et al. Seasonal variation in blood pressure: current evidence and recommendations for hypertension management. Hypertens Res. 2021;44:1363-1372.
※この記事は、ガイドラインの改定に合わせて内容を見直しています。
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