ペースメーカ外来
ペースメーカの植込みは徐脈性不整脈に対する治療ですが、植込んで終わりではなく、植込み後の長期管理が大切です。当院では以下の対応が可能です。
- 脈が遅い・めまい・失神がある方 → ペースメーカ適応の精査・判断
心電図・ホルター心電図・心エコーなど必要な検査を行い、植込みが必要かどうかを評価します - ペースメーカ植込み後の方 → 月1回の遠隔モニタリング+年1回以上の対面診察(心エコー・レントゲン含む)
(メドトロニック製ペースメーカに対応しています)
※ペースメーカの植込み手術は行っておりません。適応と判断した場合は、近隣の急性期病院へ紹介します。
【院長の専門性について】
松本健佑(まつもと けんすけ) 循環器内科専門医
平成23年4月より令和3年9月まで、約10年にわたり心臓病センター榊原病院に勤務し、不整脈・心不全の急性期治療に従事。在職中にペースメーカ植込み200例以上を経験。徐脈性不整脈の適応判断から植込み後の長期管理まで、一貫して携わってきた。2026年2月、まつもと内科・循環器内科を開業。
対応資格・経験:
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本循環器学会 循環器専門医
- ペースメーカ植込み:200例以上(榊原病院在職中)
【ペースメーカとはどのような治療か?】
不整脈には「脈が速くなる不整脈(頻脈)」と「脈が遅くなる不整脈(徐脈)」があります。そのうち徐脈性不整脈に対する主要な治療がペースメーカです。
ペースメーカとは、鎖骨下に植え込む小型の電子機器で、心臓の動きが遅くなったり止まりそうになったりした瞬間に、微弱な電気パルスを発して心臓の収縮を補助します。ペースメーカの植込みには入院が必要ですが、植込み後は外来でペースメーカの管理を行います。
当院ではメドトロニック社製のペースメーカに限り、植込み後の管理(ペースメーカ外来)に対応しています。メドトロニック社の遠隔モニタリングシステムを用いた在宅管理が可能です。
脈が遅くなる不整脈について
心臓は電気信号によって動いており、その経路には決まった順番があります。
洞結節(司令塔)→ 心房の収縮 → 房室結節(中継点)→ 心室の収縮
この電気信号の流れに問題が起こり、心室の動きがゆっくりになったり、一時的に止まってしまう病気があります。代表的なものが以下の2疾患です。
洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)
洞不全症候群とは、心臓リズムの司令塔である「洞結節」が正常に電気信号を発せなくなる疾患です。脈が極端に遅くなる徐脈のほか、脈拍が一時的に停止する「洞停止」、または徐脈と頻脈が交互に起こる「徐脈頻脈症候群」として現れることもあります。主な原因は加齢による洞結節の機能低下で、高齢者に多く見られます。
症状:めまい、ふらつき、労作時の息切れ、強い倦怠感、失神(突然気を失う)など。症状が間欠的に起こるため、日常生活の中で見過ごされやすい疾患でもあります。ホルター心電図で24時間記録することで、症状のある時間帯と心電図変化の関係を調べることが診断の鍵となります。
房室ブロック(ぼうしつブロック)
房室ブロックとは、心房から心室への電気信号の伝達が途中で遅れたり、完全に途絶えたりする疾患です。程度に応じて3段階に分類されます。
1度:伝導が遅れるだけで症状はほとんどない。
2度:一部の信号が心室に伝わらず、脈が飛ぶ。めまいや息切れが現れることがある。
3度(完全):信号が完全に途絶え、心室は自己リズム(30回/分程度)で動くのみ。失神・心不全・突然死のリスクが高まる。
3度(完全)房室ブロックは緊急でのペースメーカ治療を要することがあります。
ペースメーカの適応について
ペースメーカが必要かどうかの判断は、症状の程度・心電図所見・心臓の機能などを総合的に評価して決定します。当院では以下の検査を組み合わせて精査します。
- 12誘導心電図:来院時の徐脈・ブロックの有無を迅速に確認します。
- ホルター心電図:24時間記録により、間欠的な高度ブロックや洞停止を捉えます。症状との関係を評価するうえで最も重要な検査です。
- 心臓超音波検査(心エコー):心臓の構造・ポンプ機能を評価し、基礎心疾患の有無を確認します。
- 胸部レントゲン:心拡大や肺うっ血の有無を確認します。
- 血液検査:電解質異常や甲状腺機能低下など、徐脈の原因となる全身疾患を除外します。
院長は榊原病院在職中に200例以上のペースメーカ植込みを経験しており、適応判断に関する豊富な知識と実践的な経験を持っています。なお、完全房室ブロックなど緊急性が高いと判断された場合は、急性期病院へ即座に紹介します。
ペースメーカの植え込み手術について
当院ではペースメーカの植え込み手術は行っておりません。適応と判断した場合は、近隣の急性期病院へ速やかにご紹介します。手術後は傷が落ち着いた段階で当院に戻っていただき、継続的な管理(ペースメーカ外来)を担当します。紹介先との連携を密にすることで、植込み前後の情報を途切れさせない一貫したケアを提供します。
ペースメーカ植込み後の方へ(ペースメーカ外来)
植込み後の管理では、「遠隔モニタリング」と「対面診察」を組み合わせることで、安全で負担の少ないフォローを実現しています。
遠隔モニタリング(月1回)
ご自宅に専用の送信機を設置していただくことで、患者さんが来院することなくペースメーカのデータを確認できるシステムです。当院では月1回、定期的にデータを確認します。電池残量・リードの状況・不整脈の有無などを確認し、対応が必要な場合はお電話でご連絡します。
対面診察(年1回以上)
ペースメーカ植込み部の状態確認、胸部レントゲン、心臓超音波検査(心エコー)を用いた評価を年1回以上行います。遠隔では把握できない身体所見や画像所見を定期的に確認します。
新しい症状が出たときも、いつでも受診を
「なんとなく動悸がする」「ふらつきがある」「植込み部が気になる」など、気になる症状があればいつでも受診してください。来院時にその場でペースメーカの状態を確認できることも、当院ペースメーカ外来の強みです。
院長からひとこと
ペースメーカは、植え込んで終わりではありません。むしろ、植込み後の長期管理こそが、患者さんの安心と安全を守るうえで最も重要です。
私は榊原病院在職中、200例以上のペースメーカ植込みに携わるなかで、不整脈が変化して追加治療が必要になるケースや経過中に心臓の機能が低下する患者さんを数多く経験してきました。これらは定期的に見ていれば早く気づけたことがほとんどです。
遠隔モニタリングは優れたシステムですが、それだけで十分ではありません。定期的な対面での確認と、患者さんご自身が「おかしいな」と思ったときに気軽に相談できる環境があってはじめて、ペースメーカは本来の役割を果たせます。
当院は、メドトロニック社のペースメーカに限りますが、月1回の遠隔確認と、年1回以上の対面診察を軸とした継続管理に真摯に取り組みます。どうぞ安心して、長くお付き合いいただければと思います。
院長 松本健佑